不動産売却は相続前と相続後どちらが良い?
税率の変化も解説
はじめに
こんにちは、エステートプランです!
親が持っている不動産。
将来、相続する場合、相続前に売却して現金を相続するのと、相続後に売却するのとではどちらがお得でしょうか?
不動産を売却する際の譲渡所得税や相続時の相続税は多額になる可能性があるため、少しでもお得に売却や相続を進めたいものです。
この記事では、相続における不動産売却のタイミングについて解説します。今後、不動産の相続をお考えの方はぜひご覧ください。
「相続前」に売却!メリット・デメリットは?
不動産の所有者が生前に不動産を売却し、現金で相続するケースです。
相続前に不動産を売却することで、相続人が複数いる場合に相続分をスムーズに分けられるメリットがあります。
相続人が複数いる場合、財産を分割して相続することは困難です。共有名義にするか、不動産を受け取る代わりに現金で支払うかを話し合って決定する必要があり、トラブルにつながりやすいです。
不動産を売却して生前に現金化すれば、スムーズに遺産分割を進めることができます。
一方でデメリットとして、不動産を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)が譲渡所得税の対象となります。これは、通常の不動産取引と同じです。ただし、自宅を売却した場合、条件を満たせば 3,000 万円の特別控除を受けることができます。譲渡所得から最大 3,000 万円が控除され、譲渡所得税が軽減されます。
課税対象は売却価格ではなく売却益(譲渡所得)なので、住んでいた物件をマイホームとして売却した場合、譲渡所得から 3,000 万円が控除され、ほとんどの場合は課税されません。
「相続後」に売却! メリット・デメリットは?
不動産として相続をし、売却して現金化するケースです。
この場合のメリットは、現金で相続する場合に比べて税負担が軽減されるという点です。財産の相続には相続税がかかります。
例えば、3,000 万円の不動産をそのまま相続した場合と売却して現金で相続した場合、同じ3,000 万円なので相続税も同じだと思いますよね?
しかし、不動産の法定価値である「固定資産税評価額」と、売却価格である「時価」は必ずしも一致しません。
固定資産税の評価額は多くの場合、市場価格よりも大幅に低くなります。
不動産のまま相続をして、固定資産税評価額で計算された相続税の方が安くなるケースが多いです。
また、相続後に不動産を売却すると、利益に対して譲渡所得税がかかります。
この場合、利益は「不動産売却価格-不動産取得費用」の式で計算されますが、一定期間内に売却された場合、相続税を含めた取得費用を算出することができます。
取得価格を上げて譲渡所得を減らすことができれば、それに応じて譲渡所得税も節税することができるのです。これは、「相続税の取得費加算の特例」といいます。
また、親が住んでいた家を空き家として相続し売却する場合、一定の要件を満たしていれば、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けることもできます。譲渡所得から 3,000 万円まで控除できる特例です。
ただし、1981 年(昭和 56 年)5 月 31 日以前に建築された建物であること、一定の耐震基準を満たしていることなどの要件があり、すべての要件を満たすことはやや困難です。
相続後の不動産売却のデメリットは、相続人が複数いる場合、売却手続きが煩雑になることです。相続人全員が共有財産として相続した場合、売却には相続人全員の同意が必要です。反対意見を持つ人が一人でもいると、話し合いがまとまらず、不動産の売却が進みにくくなる可能性があります。
相続後の不動産売却は、所有期間が重要!
不動産の売却にかかる譲渡所得税は、不動産の保有期間によって異なります。
短期所有(5 年以内) :譲渡所得税率 39.63%(所得税 30.63%、住民税 9%)
長期所有(5 年超) :譲渡所得税率 20.315%(所得税 15.315%、住民税 5%)
※所得税には復興特別所得税含む
贈与や相続により取得した不動産の場合、贈与者または被相続人が所有していた期間がそのまま引き継がれます。
例えば、ご両親が 7 年間所有していた物件を相続し、すぐに売却したとしても、長期保有となりますのでご安心ください。
また、住んでいた本人が売却する場合、10 年以上の長期保有でさらに優遇されます。マイホームを売却する際の軽減税率の特例です。
10 年超の所有ほか一定の要件に当てはまれば、6,000 万円までは 14.21%(所得税 10.21%・住民税 4%)、6,000 万円を超える部分に関しては 20.315%(所得税 15.315%・住民税 5%)
の税率となります。
相続人が売却する場合、この特例は適用されません。
長く住んでいて、売却益が上がりそうな家なら、生きているうちに自分で売却するのも節税の方法の一つかもしれません。
まとめ
・不動産を相続前に売却するメリット・デメリット
所有者が相続前に不動産を売却するメリットは、相続人が複数いる場合の遺産分割がスムーズになることです。一方で、不動産を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)が譲渡所得税の対象となるというデメリットがあります。ただし、一定の要件を満たしていれば、税制上の優遇措置を受けることもできます。
・不動産を相続後に売却するメリット・デメリット
相続後の不動産売却のメリットは、税金を抑えられるケースが多いことです。相続税と所得税の両方を大幅に節約できます。デメリットは、相続人が複数いる場合、相続の分割や不動産の売却が複雑になることです。共有名義での不動産の相続はトラブルになりやすいので注意が必要です。
・所有期間による譲渡所得税率の違い
譲渡所得税の税率は、5 年以内の短期所有と 5 年超の長期所有で異なります。保有期間が長いほど、税率は低くなります。譲渡や相続により不動産を取得した場合、元の所有者の所有期間をそのまま引き継ぐことができます。元の所有者が生前に自宅を売却した場合、10年以上の所有で税率をさらに軽減する優遇措置を受けることができます(その他の要件があります)。
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