不動産売却契約後のキャンセルは可能か?違約金の有無などについて
目次
はじめに
不動産の売却を進めて、売買契約を締結した後で「やっぱり売りたくない!」としてもよいのでしょうか?
実は、売り出しや契約をした後でも、キャンセルが全くできないわけではありません。
しかし、契約後にキャンセルする場合、タイミングによっては違約金が発生することがあるので注意が必要です。
今回は、不動産売却におけるキャンセルとその違約金について詳しく解説します。
予期せぬキャンセルが発生することもあるため、さまざまなケースを知っておくことが重要です。
不動産売却をキャンセルする場合、どのようなケースが考えられるでしょうか?
不動産の売却手続きを進めていても、事情が変わり「やっぱり売らないことにした」となる可能性はあります。
不動産売却のキャンセルを検討する際、次のようなタイミングが考えられます。
・不動産会社に査定をしてもらった後
・不動産会社と媒介契約を結んだ後
・不動産会社が物件の広告を出した後
・購入希望者から購入申し込みを受けた後
・買主と不動産売買契約を結んだ後
・不動産売買契約を結び、物件を引き渡す直前
それぞれのタイミングでキャンセルが可能かどうか、違約金が発生するかどうかについて解説します。
不動産売却において媒介契約のキャンセルは可能?違約金の発生について
不動産売却では、不動産会社に依頼するのが一般的です。不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始します。
媒介契約とは、「不動産の売却活動を依頼し、売却が成立したら仲介手数料を支払う」という契約です。通常の売却活動にかかる費用は仲介手数料に含まれ、手数料は成功報酬として不動産が売れたときに初めて支払います。
不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始した後でも「やっぱり売却はやめたい」とキャンセルすることは可能です。しかし、媒介契約の種類によっては、キャンセル時に違約金が発生する場合があります。
不動産売却の媒介契約には、以下の3つの種類があります。
一般媒介契約
複数の不動産会社と同時に契約を結べる、最も自由度の高い媒介契約です。
購入希望者を自分で見つけ、不動産会社を介さずに売買契約を結ぶことも可能です。
契約期間に関する規定はありません。
専任媒介契約
1社とだけ契約を結ぶ媒介契約です。
購入希望者を自分で見つけて不動産会社を介さずに売買契約を結ぶことができます。契約期間は3ヶ月以内です。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約を更に厳格にした媒介契約です。
同時に複数の不動産会社と契約を結ぶことはできず、自分で購入希望者を見つけた場合でも必ず不動産会社を通じての契約となります。
契約期間は3ヶ月以内です。
一般媒介契約では、契約期間の明確な規定がないため、売主はいつでも契約を解約でき、違約金も生じません。ただし、これまでの広告費や宣伝費の実費支払いを求められる可能性があります。
一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、最長で3ヵ月の契約期間内での解約に違約金が発生することがあります。違約金の額は通常、売却できた場合の仲介手数料を上限としています。
不動産会社との契約を解約する理由には、売却をやめて賃貸にしたり、親族に贈与する場合などが挙げられます。
また、売主に責任がなく不動産会社側の責任による解約では、違約金は発生しません。
最長3ヵ月の契約期間が終了したら、契約を更新しない選択も可能で、その場合、違約金は発生しません。
なお、「不動産会社に査定をしてもらったあと」の段階では、契約を結んでいないため、自由にキャンセルでき、違約金の問題はありません。
不動産の売却後、契約をキャンセルすることは可能?もしキャンセルした場合の違約金について
不動産会社との媒介契約ではなく、購入希望者と不動産売買契約を結んだ後で売却をキャンセルすることは可能でしょうか?
やむを得ない事情や契約違反などがある場合、売買契約を結んだ後でもキャンセルは可能です。しかし、タイミングによって違約金が発生し、その金額も異なります。
不動産売却では、買主からの購入申し込みを受けて売買契約を結び、手付金を受け取った後、残金決済と同時に物件の引き渡しをして取引が完了します。
キャンセルが可能なタイミングや、どんなタイミングで違約金が発生するのかをご紹介します。
購入申し込みを受けたタイミングでのキャンセル
購入申し込みは法的な拘束力を持ちませんので、この段階でキャンセルしても違約金は発生しません。
つまり、売却をやめる決断をした場合、キャンセルは可能です。
売買契約を締結したあとのキャンセル
売買契約を締結した後でのキャンセルが可能かどうか疑問に感じるかもしれませんが、契約直後であればキャンセルは可能です。
ただし、この場合、売主は契約時に受け取った手付金の倍額を買主に支払う必要があります。これがキャンセルに伴う違約金となります。
この違約金の仕組みを「手付金の倍返し」と呼びます。
手付金は物件価格の5~10%程度で設定されることが一般的であり、たとえば3,000万円の物件であれば10%の手付金は300万円になります。
したがって、300万円の手付金を受け取った場合、違約金として600万円を買主に支払う必要が生じます。
引き渡し直前のキャンセル
契約を締結してから一定の時間が経ち、引き渡しの準備が進行中である場合、キャンセルによる手付金の倍返しは行われません。
この段階では、買主は引き渡しに向けて残金の準備や引っ越しの手配を進めています。これを「契約履行の着手」と呼び、契約の履行に向けた行動が既に始まっている場合には、キャンセルによって違約金が生じます。
違約金の金額は、不動産売買契約書に記載されています。もし契約書に記載がない場合でも、契約解除に伴う損害賠償が通常行われ、その金額は売買価格の約1割程度が一般的です。
ただし、買主都合や買主に責任のある場合のキャンセルでは、売主が違約金を負担する必要はありません。
さらに、「住宅ローンの審査が通らず、購入ができなくなった」という場合もあります。このような場合、ほとんどの場合、売買契約書には「住宅ローンに通らなかった場合は違約金は免除される」という特約が記載されています。
まとめ
・不動産売却を取りやめるシナリオ
不動産売却をキャンセルする場合のシナリオには、不動産会社に査定を依頼した後や媒介契約を締結した後、不動産会社が物件の広告を出した後、購入希望者から購入申し込みを受けた後、買主と不動産売買契約を結んだ後、不動産売買契約を締結して物件を引き渡す直前などがあります。
・不動産売却での媒介契約の取り消しは可能?
不動産会社と結んだ媒介契約は取り消すことができます。一般媒介契約では違約金は発生しませんが、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、最長3ヵ月の契約期間中に取り消すと違約金が発生することがあります。契約期間終了時に契約を更新しなければ、違約金は免除されて契約を終了できます。
・不動産売却での売買契約後の取り消しは可能?
やむを得ない事情や契約違反などがあれば、不動産売買契約を締結した後でも取り消すことができます。契約を締結した直後であれば、手付金の倍額を支払って取り消すことができます。一方で、契約履行の着手が進んでいる場合は違約金が発生します。違約金の金額は契約書に記載されているか、売買価格の約1割程度が一般的です。
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