北九州の不動産売却・査定 | 株式会社エステートプラン

社長のひとり言

奇跡ってこんなふうに起こるものなのか、という話

ずいぶん昔のこと、とある家を売却したいという相談を受けたことがあった。

その家は築10数年が経過していたが、とてもきれいに維持・管理されており、素敵な住まいだった。

売主のご主人が一人で対応してくれたのだが、年齢が近かったこともあり、すぐに意気投合し、プライベートな話までいろいろと聞かせてくれた。

一般的に、初対面ではなかなか話しづらいことが多い。特に家の売却に関わる話には、デリケートな事情がつきものだ。

しかし、彼は私を信頼し、率直に自身の状況を打ち明けてくれた。

当然、その期待に応えなければならない。それは仕事としてはもちろん、人としても当たり前のことだ。

立ちはだかった壁

売却を進めるにあたり、いくつかの難しい障壁があった。

彼には妻子がいたが、私が会った時にはすでに離婚が成立しており、家はもぬけの殻だった。

離婚にはさまざまな理由がある。どちらが悪いのか、そんなことを論じるつもりはない。

私たちの仕事は、ただひたすら依頼主の希望に応えることにある。

そこで、「いくらで売れるのか?」にフォーカスして査定額を算出し、インターネットで売り物件として公開した。

彼は当然、離婚前は配偶者と家計の収支を共有していたため、住宅ローンの残債や養育費の負担をすべて一人で背負うことになり家計はひっ迫していた。

正直なところ、私の査定では「売却によってローンを完済できる確率は70%」といったところだった。

万が一、売却価格がローン残債を下回る場合、その差額を補えなければ、個人再生(借金の返済が困難になった人が、裁判所の認可を得て借金の総額を減額し、分割返済する手続き)を検討せざるを得なかった。

そんな厳しい状況でも、彼はLINEでこう送ってくれた。

「西川さんだけが頼りです。私を救ってください!(笑)」

彼は常に前向きだった。

だが、売り出して2ヶ月が経過し、やはり状況は厳しかった。

そこで念のため、個人再生について相談できるよう、司法書士との面談の機会を設けた。

面談当日、私が司法書士と話している最中、彼が重い口を開いた。

「西川さん、とても頑張ってくださっていて、本当に言いにくいのですが……」

彼は何故か少しはにかみながら続けた。

「実は、宝くじが当たったんです、1,000万円。」

な、な、何て言った⁉︎

私は、冗談が好きな人だなぁと彼のポジティブな姿勢を称賛しつつ、笑顔で受け流そうとした。

しかし次の瞬間、彼は真剣な表情で言った。

「本当なんですよ。一昨日のことなんですが、入金されるまで自分でも信じられなくて……。」

まさに奇跡のタイミングだった。

その1,000万円は、養育費の一括払いと売却損の補填に充てられた。

人生はうまくできている

彼は笑いながらこう言った。

「お金はあっという間に消えました。人生はうまくできているようですね。単に必要経費として与えられ、ちゃんと帳尻が合ったようです。」

宝くじが当たること自体も驚きだが、何よりこの完璧すぎるタイミングに驚かされた。

しかし、彼の人柄を考えれば、これも彼が積み重ねてきた徳の結果なのかもしれない、とどこか納得もできた。

彼はとても穏やかな性格で、元妻の悪口を一切言わなかった。

世間でいう「典型的な良い人」そのものだった。

その後、これまた性格の良い若い夫婦がこの家を購入することになり、彼は無事に人生を再スタートさせることができた。

本当に大切なこと

私は、彼の相談を受けてからずっと彼の姿を見ていて、思ったことがある。

彼が宝くじに当たったことよりも大切だと感じたこと。

それは、彼が自分の境遇に対して、つまり子どもを連れて家を出ていった元妻に対して決して愚痴をこぼさず、常に明るく前向きだったという事実だ。

夫婦の問題は「喧嘩両成敗」だと思う。

どちらが悪いとか、誰にも裁く権利はないし擁護するつもりもない。

彼は、相手に焦点を当てるのではなく、自分が当事者としてやるべきことに集中し、受け入れるべき事実にしっかり向き合っていた。

その姿勢こそが、何より称賛に値すると思う。

運命を変えるのは自分自身の在り方

この出来事は、単なる「幸運の話」ではない。

宝くじが当たったことが奇跡なのではなく、彼がどんな状況でも希望を失わず、前向きに生きる選択をし続けたことが奇跡を引き寄せたのだ。

運とは、誰かが与えてくれるものではなく、自分の生き方が生み出すものなのかもしれない。

そして、もし本当に「運命」があるのだとしたら

それは待つものではなく、自らの手で切り拓くものなのだ。

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