スタッフの一言が驚愕だった
今朝、社内でとてもびっくりする出来事が起こった。
朝から、いや昨晩から物件問い合わせの電話が鳴り止まないのだ。事務系社員は、大忙しで対応に追われた。
物件の内覧をしていないにもかかわらず、お客様から購入申込書がFAXされてきた。
うちにそんな大人気の物件あった?そんな疑問を抱きながら、スタッフにどこの物件か尋ねた。
「110万円で、昨晩公開された八幡西区の物件です」スタッフは答えた。
「え?それって1,100万円の間違いじゃない?」冷や汗が出た。
ちょうど肝心な時に、その物件の担当者が外出していて状況が把握できなかったが、間違いなく0が一つ足りないと判断して、掲載停止と謝罪の対応が始まった。
とは言っても、ほとんどのお客様は理解して下さり、確認と誤りを伝えるためにわざわざお電話してくださる方もいらっしゃった。
Mさんの咄嗟の判断
驚いたのは、この価格の掲載ミスのことではない。もちろんプロとしてあってはならないことではあるが、ミスしたスタッフを責める気はない。
しかし、その電話対応に追われる事務スタッフとしてはたまったものではない。人によっては、どうしてこうなったとイラついてしまうこともあるだろう。
ほとんどの対応が、
「今、担当者が不在なので後ほどご連絡させていただいて宜しいでしょうか?」
であった。
ここで、一番年配で場を取り仕切るMさんが、焦るスタッフに向かって一言。
「掲載の金額を間違ったNさんは、今日、訪問や接客対応がスケジュールに見受けられるから、きっと忙くてこの数々の電話に対応できないと思う。ここは、私たちで完結させましょう。」
価格を一桁間違えて入力したことを真摯にお伝えし、一件一件、お問合せ電話に対応していった。
担当者に限らず、自分でやらかしたことには自分で対応するのが当然の責務である。だからこの電話対応は、その張本人に繋ぐのが普通かもしれない。ましてや、物件のことを一切知らない事務スタッフにとってお客様の質問にお答えすることは至難の業だ。それでも、全てを受け入れて、営業担当者にその時間を使わせないことが営業サポーターの責任と判断して、皆に周知させたMさんのとっさの行動は、営業サポーターとしてはもちろん、人として天晴れだった。
真価を問われる機会
仕事は、与えられたその目の前のことだけを行うことも大切だが、視野を広げて、誰かの仕事を手助けすることはもっと意義深い。
営業スタッフがさらに本業に時間を割くことができるようにサポートするのが、内勤の役割ではあるが、頭でわかっていても実践することは容易ではないはずだ。
営業スタッフは、その方々の期待を裏切らぬように、お客様に喜んでいただくことで成果を上げるという責務を全うするのが会社組織での役割だと思う。
今回のような、少しだけ追い込まれた時に人間の真価は問われる。
Mさんの言動は、一見簡単なようだが、なかなか誰もが成せることではなく尊敬に値する。
Mさんと連携してその場を乗り切った他の事務社員達のこともとても誇らしく思えた。