突然の別れ、親友が残した教え
親友が、あっけなくこの世から消えてしまった。
先月、業界内の親しい者たちだけで忘年会を行ったのだが、その翌々日、一人の参加者から電話がかかってきた。
声のトーンがやけに低かったので、また何かネガティブな話でもするのかと思い、冗談交じりに「どうした? 声が小さいぞ」と笑いながら尋ねた。
すると、彼はこう答えた。
「いや…、あの…、○○社長が亡くなりました。」
「おいおい、またまた冗談を… えっ⁈ 本当の話?」
あまりにも衝撃的だった。
つい先日、酒を酌み交わしながら、お互いの未来を語り、励まし合ったばかりだったのに。
翌日、サウナに行って倒れて緊急搬送されたらしく、ヒートショックではないかと思われる、53歳だった。
彼とは、5年ほど前に福岡の業者交流会で出会い、同い年だということがわかり、親睦を深めた間柄だった。夜な夜な電話で公私にわたる様々な話をし、忘年会でも最後まで隣に座り、語り合ったばかりだった。
告別式を終えたその夜、彼のスマホからLINEが届いた。
奥様から、すべてが終わったことを知らせる報告のメールだった。
まるであの世の彼からのメールのようで、嬉しいような、彼女のことが心配なような、複雑な気持ちになった。
私は、彼に伝えたいことが山ほどあった。
あの世の彼に届けとばかりに、彼宛にメールの返信を送った。
親友への手紙
勘弁してくれよ、逝くのが早過ぎるよ
俺は、親友を失って余生をどう過ごしたらいいと?
一緒に旅行にでも行こうって言ってたのに。
話は変わるけど、〇〇のおかげで悟ることができたよ。
死ぬことは恐れるものではないこと、そして常に死と人生の終わりを意識して生きる決意ができた。
頭では分かっていたけど、こんなに人生があっけないものだということを、皮肉にも〇〇の死を目の当たりにして実感することになった。
やはり、人間にとって今この瞬間が大事なんだよな。
過去も未来もなく、今が全てなんだ。
このひととき、当たり前に生きていること自体が奇跡であり、それ以上を求めないこと。
それに感謝できることが、最も尊くて幸せの源なんだよな。
それについて語り合う機会がなかったよなぁ。それだけは後悔してる。
あの夜、最後の最後まで俺のことを親友だって、ありがたいって言ってくれたよな。
俺も〇〇のことを大切な友だと思っているよ。
おっさん同士、LINEで何時間も話したのは、後にも先にも〇〇だけだよ。
俺が一番きつい時に、いつも話を聞いてくれたよね。
振り返れば、何度も窮地を救ってくれたと思ってる。経営者としても、〇〇の助言が無ければ、今の会社は危ぶまれてたかもしれん。
少し落ち着いたら、本気でエンディングノートに取り組んでみるよ。
どうやってこの世を去るか、真剣に考えてみようと思う。今、この場で終わってもいいように。
残された者が混乱しないように、きっちりやらんとな。
告別式で流れた手嶌葵さんの歌は、本当に良かったよ。
しかし、俺自身の葬式は、日本の伝統的なものではなく、洋楽でも流して、明るく楽しいさよならパーティーにしようと思う。
坊さんもいらない(笑)。
皆んなで酒をしこたま飲んで、笑ってもらいたいと思ってるよ。
そんな諸々のイメージを真剣に考えることができたのも〇〇のおかげだよ。
しばらくお別れだけど、そっちで会える日を楽しみにしてる。
どんな世界か知らないけど、一番最初に迎えに来てくれると嬉しい。
他の人が来ても誰かわからないかもしれんけ頼むよ。
落ち着いたら、奥さんから〇〇の遺品をもらうつもりやけど気持ち悪く思うなよ。
パンツ以外なら何でもいいって伝えとる。(笑)
お互いに、また会う日までたくさん土産話をつくっておこうな。
じゃあ、またな〜。