住み替えの際に利用可能なつなぎ融資とは?その利点と欠点について
目次
はじめに
住み替えでは、現在の住宅を売却し、同時に新しい住まいを購入し、新しい住宅ローンを組む必要があります。この過程では、スケジュールやタイミングが非常に重要であり、現在の住宅ローン残高や手元の資金(頭金)の状況によっては、新しい住宅ローンを組むことが難しい場合もあります。
このような状況で有用なのが、つなぎ融資です。
今回は住み替えにおいて考慮されるつなぎ融資について詳しく説明します。つなぎ融資とは何か、どのような状況で利用されるのか、そしてその利点やデメリットについても解説いたします。
住み替えの際の「つなぎ融資」とは?融資が必要になる状況について
つなぎ融資は、住み替えにおいて発生する一時的な資金不足を解消するための、無担保の短期ローンです。
住み替えでは、家の売却と新居の購入が同時に行われるため、売買のタイミングや資金のスケジュールが非常に重要です。現在の住まいを売却して得られる資金を新しい住まいの購入費用に充てることが一般的ですが、タイミングが合わないと資金が足りなくなる可能性があります。
こうした状況でつなぎ融資を活用することで、必要な資金を準備し、住み替えをスムーズに進めることができます。最長で 1 年ほどの短期間で、一括返済と無担保で融資を受けることができますが、通常の住宅ローンよりも金利が高い傾向があります。
住み替え時には、「売り先行」と「買い先行」の 2 つのパターンがあり、それぞれがつなぎ融資が必要になる場合があります。
【売り先行】
旧居の売却を先に進めてから新しい住まいを購入するケース。
売却が確定するため、資金計画を立てやすい一方で、売却が進まないと新居の購入も進まず、住み替えが難しくなります。
【買い先行】
新しい住まいを購入してから旧居の売却を進めるケース。
売却が円滑に進まないと、2 重ローンになる可能性があります。
※住み替えでの売却・購入のタイミングについては、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
住み替えをご検討の方は、ぜひご参考ください。
住み替えの売却と購入はタイミングが重要!後悔しないためには?
売り先行で長期間にわたって家が売れないと、新居の購入費用が確保できず、新しい住まいを手に入れることができません。逆に、売れる見込みがあると考えて先に新居を買い先行で契約しても、旧居が売れずに代金の決済までに時間がかかると、期待していた資金が不足してしまいます。
このような状況では、売却金で完済することを条件にしてつなぎ融資を受け、その資金を新居の購入費用の一部として活用したり、新しい住宅ローンを契約することがあります。
新しい住宅ローンを契約する際、既に売りに出している家の住宅ローン残高が高額だと契約が難しい場合があります。そのため、つなぎ融資で一度残債を返済してから新しいローンを組むケースが一般的です。
最終的に売却が完了したら、つなぎ融資を一括返済するという流れが生まれます。
住み替えにおいて、つなぎ融資を活用する際の3つの利点
つなぎ融資を利用する際には、売却が難しい場合に不動産会社による買取を条件とするケースがよく見られます。ただし、買取になった場合、通常の売却額の約 70%の価格でしか売却できないため、損失が生じる可能性も考えられます。
そのため、比較的売却が容易な不動産を所有している場合は、以下の 3 つのメリットを検討する際に留意すると良いでしょう。つなぎ融資を活用した住み替えには、以下の 3 つの利点があります。
資金不足でも買い先行で住み替えが可能
費用的なリスクが少ない「売り先行」を選択すると、住宅が売却されるまで新居の購入ができず、住み替えが進められません。待っている間に「希望の物件が売れてしまった」「引っ越しの期限が迫っているのに間に合わない!」という状況に陥ることもあります。
つなぎ融資を利用して新居の購入資金を事前に確保できれば、売却を待つことなく買い先行で住み替えを進めることができます。引っ越しのスケジュールもしっかりと進めることができるでしょう。
旧居が空き家となりやすく、売却がしやすくなる
つなぎ融資を利用して売却前に新居を購入し、引っ越しを完了させるため、旧宅は荷物がない空っぽの状態にします。家具や荷物がないことで生活感を抑え、空間を広く見せることができ、内覧に訪れる購入希望者の印象も向上します。
貴重品がない状態であれば、不動産会社に鍵を預け、内覧対応を全て任せることもでき、手軽に対応することができます。
仮住まい費用や二重の引っ越し費用が不要
「売り先行」で旧宅を先に売却すると、新居を購入して引っ越すまでの間に仮住まいが必要になります。旧宅から仮住まいへ、そして仮住まいから新居へと引っ越しが 2 回発生するため、費用がかさんでしまいます。
つなぎ融資を利用して買い先行で住み替えを進めれば、新居への引っ越しを先に行うことができ、仮住まいにかかる余計な費用を抑えることができます。
住み替えにおいてつなぎ融資を活用する際の 4 つの欠点
つなぎ融資にはいくつかのデメリットが存在します。軽率に利用するのではなく、メリットや他の費用と比較検討することが重要です。
金利や事務手数料が高額
つなぎ融資は無担保であり、短期ローンであるため、金利や手数料が高い傾向があります。
通常の住宅ローンの金利が 0.5~1.5%であるのに対し、つなぎ融資の金利は約 3%前後になります。事務手数料も 10 万円(税別)前後かかることが一般的であり、利用には大きな費用がかかります。また、つなぎ融資もローン契約なので、契約書に貼付する印紙代も必要です。
売却価格によって資金計画が狂う可能性がある
つなぎ融資は旧宅の売却前に売却金額を見込んで受けるため、売却額が予想よりも低い場合、資金計画が狂ってしまう可能性があります。「売却金でつなぎ融資を返済するつもりだったのに、売却価格が低くて返済額に足りない!」といった事態が生じる可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、売却価格を慎重に見積もりつつ融資を受けることが重要です。
期間内に返済できないと遅延損害金が発生する
つなぎ融資の期間は 1 ヵ月から 1 年程度で、毎年少しずつの返済ではなく一括での返済が必要です。計画通りに売却が進まない場合、返済が遅れる可能性がありますので、注意が必要です。期間内に返済ができない場合、年利約 14%の遅延損害金が発生します。
取り扱っている銀行が限られている
つなぎ融資を提供している銀行は限られており、他の金融機関と比較検討することが難しいです。特に地方の金融機関では選択肢が少ないことがあります。この場合、つなぎ融資ではなく、旧宅と新居の住宅ローンを 1 本化して新しいローンを組む「住み替えローン」を検討するのも一つの選択肢となります。詳細はこちらのコラムで解説しています。
住み替えローンについてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
住み替えローンとは? 内容・条件・メリット・デメリットを紹介します。
売却が難しいと見込まれる場合、売却を優先し金額を把握してから購入可能な物件を選ぶ「売り先行」も検討する価値があります。
まとめ
・住み替えのつなぎ融資とは
つなぎ融資は、住み替えに伴う一時的な資金繰りのニーズに応えるためのローンです。住み替えでは、旧居の売却と新居の購入が同時に行われるため、売買のタイミングが非常に重要です。新居の購入費用や旧居の住宅ローン残債をつなぎ融資で調達することで、住み替えプロセスを円滑に進めることができます。
・住み替えでつなぎ融資を利用するメリット
住み替えでつなぎ融資を利用する際のメリットは、【1】資金が不足していても買い先行で住み替えを進められること、【2】旧居が空き家になりやすくなり、売却がしやすくなること、【3】仮住まい費用や二重の引っ越し費用が不要という 3 点です。これにより、購入資金の不足があっても「買い先行」の利点を享受できます。
・住み替えでつなぎ融資を利用する際のデメリット
住み替えでつなぎ融資を利用する際のデメリットは、【1】金利や事務手数料が高いこと、【2】売却価格によっては資金計画が狂う可能性があること、【3】期間内に売却・返済しないと遅延損害金が発生すること、【4】取り扱っている銀行が限られていることの 4 点です。慎重な資金計画と売却計画が必要であり、銀行の取り扱い状況も考慮する必要があります。
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